猫に多い病気は年齢・性別・暮らし方によって変わる
猫に多い病気として、嘔吐・下痢などの消化器トラブル、膀胱炎や尿石症を含む下部尿路疾患、結膜炎・上部気道感染、歯肉炎などの歯科疾患が挙げられます。高齢になると、慢性腎臓病、心筋症、甲状腺機能亢進症、糖尿病、腫瘍、関節の病気にも注意が必要です。
ただし、「猫に多い病気」を全猫共通の順位に並べることはできません。子猫かシニアか、雄か雌か、完全室内飼いか外へ出るか、多頭飼育か、ワクチン歴や持病があるかでリスクは変わります。保険会社の統計も、保険に加入し、動物病院を受診して請求した猫のデータです。受診していない猫や保険未加入の猫を含む「日本の全猫の発症率」ではありません。
また、嘔吐、下痢、食欲不振、体重減少は病名ではなく症状です。同じ変化が胃腸、腎臓、肝臓、膵臓、甲状腺、口の痛み、異物、中毒などで起こることがあります。「この症状だからこの病気」と家庭で決めつけず、いつから・何回・普段と何が違うかを記録して動物病院へ伝えることが大切です。
この記事では、日本の保険請求データを年齢別の傾向を知る参考として使いながら、代表的な病気、見逃したくない変化、受診の緊急度、毎日の予防と健診を整理します。個別の猫の診断や治療は、診察と必要な検査をもとに獣医師が判断します。
病名を調べる前に「今すぐ受診したいサイン」を確認
病気の種類を調べるより先に、待てない異変がないかを確認してください。次のどれかがあれば、診療時間内かどうかにかかわらず、受診できる動物病院へすぐ電話し、受け入れ状況と移動方法を確認します。
- 口を開けて呼吸する、呼吸が明らかに苦しそう、舌や歯ぐきが青紫・灰色・白っぽい
- 何度もトイレへ行っていきむのに、尿が出ない、または数滴しか出ない
- 倒れる、意識や反応が鈍い、立てない、けいれんしている
- 強い痛みがある、激しく鳴く、触れられない、急速に悪化している
- 中毒物質、人の薬、ひも・針などの異物を口にした可能性がある
- 交通事故、転落、大きな外傷、止まりにくい出血がある
- 嘔吐を繰り返して水も飲めない、血を吐く、黒いタール状便や多量の血便がある
AAHAの救急サイン解説は、呼吸困難、持続する嘔吐・下痢、けいれん、中毒、外傷などを緊急評価が必要になり得る変化として挙げています。猫の呼吸が苦しそうなときは、胸を圧迫する抱き方や無理な口内確認を避け、静かにキャリーへ入れて病院の指示を受けてください。撮影や呼吸数の計測のために連絡を遅らせないことが重要です。
とくに、尿が出ない状態は便秘と見分けにくいことがあります。Cornell大学の猫下部尿路疾患解説は、頻回の排尿姿勢、痛がって鳴く、血尿、トイレ以外での排尿などを挙げ、尿がほとんど、または全く出ない尿道閉塞を「直ちに治療が必要な救急」としています。雄猫は尿道が細く長いため、とくに閉塞へ注意が必要です。
今すぐの救急サインがなくても、嘔吐や下痢を繰り返す、食べない・飲めない、ぐったりしている、痛がる、出血がある、子猫・高齢猫・持病のある猫が普段と明らかに違う場合は、当日中にかかりつけへ相談しましょう。軽い変化に見えても、続く、何度も再発する、体重や飲水・尿量が変わった場合は予約を取り、記録を持参します。
保険請求データで見る猫の年齢別の病気・症状の傾向
アニコム『家庭どうぶつ白書2025』は、2023年4月から2024年3月までに同社の保険契約を開始した猫の請求データを年齢帯別に集計しています。上位には次のような違いがあります。
| 年齢帯 | 請求割合の上位にある病気・症状 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 0〜4歳 | 嘔吐・下痢・血便(原因未定)、胃炎・胃腸炎・腸炎、結膜炎、膀胱炎、消化管内異物・誤飲 | 消化器症状、目や呼吸器につながる変化、尿路、誤飲を幅広く観察する |
| 5〜9歳 | 嘔吐・下痢・血便(原因未定)、膀胱炎、胃炎・胃腸炎・腸炎、結膜炎、歯周病・歯肉炎、尿石症、心筋症 | 若い頃からの症状に加え、口腔・心臓・泌尿器の確認を増やす |
| 10歳以上 | 嘔吐・下痢・血便(原因未定)、胃炎・胃腸炎・腸炎、膀胱炎、元気喪失、歯周病・歯肉炎、心筋症、甲状腺機能亢進症、糖尿病、便秘 | 「年齢のせい」に見える体重、食欲、飲水、活動性の変化も記録する |
この表の「請求割合」は、保険金の支払いがあった猫の数を契約猫の数で割った値です。0〜4歳では原因未定の嘔吐・下痢・血便が9.6%、膀胱炎が4.2%、5〜9歳では同じ消化器症状が5.7%、膀胱炎が3.7%、10歳以上では同じ消化器症状が6.3%、歯周病・歯肉炎が1.9%、心筋症が1.8%、甲状腺機能亢進症が1.6%、糖尿病が1.4%でした。
数字は「この年齢ならその確率で発症する」という予測には使えません。保険加入時の年齢制限や猫を迎えた経路、受診のしやすさ、診断名の付け方などの影響を受けます。また、「嘔吐・下痢・血便(原因未定)」と「心筋症」のように、症状と確定診断が同じランキングに並んでいます。順位そのものより、年齢が変わると確認したい体の領域が増えると捉えるのが実用的です。
別のアイペットの2025年傷病ランキングでも、2024年の請求サンプルで6歳までは下痢、7歳以上は腎臓病が最多でした。母集団の異なる保険データを合わせても、若齢では消化器症状、高齢では腎臓を含む慢性疾患に注意が移る傾向は見えます。一方、保険請求が少ない病気でも、呼吸困難や尿道閉塞のように一刻を争うものがあります。頻度と緊急度は別々に考えてください。
猫に多い代表的な病気と気づきたい変化
嘔吐・下痢を起こす消化器の病気
嘔吐や下痢は、猫の保険請求で多い変化ですが、特定の病気を示すものではありません。急な食事変更、感染症、寄生虫、炎症、異物、薬や中毒物質、膵臓・肝臓・腎臓など消化管以外の病気でも起こります。Merck Veterinary Manualの猫の消化器疾患解説も、嘔吐・下痢が消化器だけでなく腎臓や肝臓などの病気で現れることがあると説明しています。
毛玉を吐いたように見えても、回数が増える、毎週のように繰り返す、食欲や元気が落ちる、体重が減る、血が混じる、水も吐く場合は相談が必要です。吐く前にお腹を波打たせる「嘔吐」と、食後すぐ未消化のものが力まず出る「吐出」では、獣医師が考える部位が異なることがあります。可能なら全身が映る短い動画を残し、食事との時間関係、内容物、回数を伝えます。
下痢では、始まった日、回数、便量、形、色、血や粘液の有無、食事変更、誤食、同居猫の症状を記録します。人用の下痢止め、以前の残り薬、自己判断の長時間絶食は避けてください。子猫、高齢猫、持病のある猫、嘔吐や食欲不振を伴う猫は、脱水や全身状態の悪化を早く起こすことがあるため、早めに病院へ連絡します。
膀胱炎・尿石症などの猫下部尿路疾患
猫下部尿路疾患(FLUTD)は、膀胱と尿道に起こる複数の病気の総称です。原因が特定できない猫特発性膀胱炎、尿石症、尿道栓子、感染、腫瘍などが含まれ、症状だけで区別できません。
気づきたい変化は、何度もトイレへ行く、長くいきむ、排尿時に鳴く、血尿、陰部を繰り返しなめる、トイレ以外で排尿する、尿の塊が小さくなることです。「急に粗相をした」「落ち着きがない」という行動の変化として現れることもあります。叱ったり、環境ストレスだけと決めつけたりせず、まず身体の問題を除外します。
雄猫で尿が出ない、数滴しか出ない、嘔吐や元気消失が加わる場合は尿道閉塞の可能性があり、すぐ病院へ連絡します。尿石には種類があり、食事で溶けるものと溶けないものがあります。市販の「尿路ケア」表示だけで治療食を選ばず、尿検査や画像検査などで原因を確認したうえで、食事と環境の計画を獣医師と相談してください。
歯肉炎・歯周炎・歯の吸収病巣などの歯科疾患
猫の歯科疾患は珍しくありません。Cornell大学の猫の歯科疾患解説は、歯肉炎、歯周炎、歯の吸収病巣を代表的な問題として挙げています。歯の吸収病巣は歯の組織が壊れていく病気で、外から見える範囲だけでは分からないことがあります。
口臭、よだれ、口元を気にする、ドライフードを落とす、片側だけで噛む、柔らかいものを好む、食器の前まで行くのに食べない、毛づくろいが減るといった変化は、口の痛みの手掛かりです。猫が食べているから痛くないとは限りません。
口を無理にこじ開けたり、赤く腫れた歯ぐきを強く磨いたりしないでください。痛みが疑われる猫は先に診察を受けます。症状のない段階から猫用の歯みがきを少しずつ練習できる場合もありますが、使う道具や頻度は口の状態と猫の受け入れ方に合わせ、嫌がるときは押さえつけないことが大切です。
結膜炎・上部気道感染症
子猫、保護されたばかりの猫、多頭環境で暮らす猫では、くしゃみ、鼻水、目やに、結膜炎などの上部気道症状に注意します。Cornell大学の猫の呼吸器感染症解説によると、猫ヘルペスウイルスやカリシウイルスのほか、細菌など複数の病原体が関わり、目・鼻の分泌物、くしゃみ、結膜炎、口内の潰瘍、元気・食欲低下などが現れます。
「猫風邪」という通称だけで軽いと判断しないでください。子猫が食べない、目を開けられない、角膜が白く濁る、ぐったりする、呼吸が苦しそうな場合は早めの診察が必要です。同居猫がいるときは、食器やトイレの扱い、隔離の要否を病院へ確認します。自己判断で人用の目薬を使わないでください。
ワクチンは重い感染症のリスクを下げる重要な手段ですが、すべての呼吸器症状や感染を完全に防ぐものではありません。接種歴があっても異変は観察し、新しい猫を迎えるときは健康診断、感染症検査、ワクチン計画を相談します。
慢性腎臓病
慢性腎臓病(CKD)は、時間をかけて腎機能が失われる病気で、高齢猫でとくに注意したい病気です。Cornell大学のCKD解説(2025年1月更新)は、初期に目立つ症状がない猫も多く、進行に伴って尿量と飲水量の増加、食欲低下、元気消失、毛づやの低下、体重減少などが見られるとしています。
水をよく飲むようになった、トイレの尿塊が大きくなった、以前より細くなった、食べむらが出たといった変化は「歳を取ったから」と流さず記録しましょう。一方、多飲多尿や体重減少は糖尿病、甲状腺機能亢進症などでも起こります。血液検査の数値一つだけでなく、尿検査、血圧、体重・筋肉量、必要に応じた画像検査などを組み合わせて評価します。
すでに腎臓病を管理している猫では、食事、飲水、投薬、補液を自己判断で変更しません。急に食べない、吐く、ぐったりする、尿が極端に減る、ふらつくなどがあれば、予定の再診日を待たず主治医へ連絡してください。
心筋症
心筋症は心臓の筋肉に異常が起こる病気の総称で、猫では肥大型心筋症(HCM)が最も多い型です。Cornell大学の心筋症解説は、初期に明らかな症状を示さない猫がいる一方、進行すると肺水腫や胸水による呼吸困難、血栓塞栓症などにつながることがあると説明しています。
安静時でも呼吸が速い・苦しそう、横になれない、口を開けて呼吸する場合は救急です。突然後ろ足を動かせない、強く痛がる、足先が冷たい場合も血栓塞栓症などの可能性があるため、すぐ連絡してください。咳が出ないから心臓病ではない、心雑音がないから安全、と家庭で判断することはできません。
品種や家族歴、心雑音、不整脈、ほかの病気によって検査の必要性は変わります。健康診断で心音を確認し、必要に応じて血圧、血液検査、X線、心臓超音波などの目的を説明してもらいましょう。
甲状腺機能亢進症・糖尿病
甲状腺機能亢進症と糖尿病は、中高齢猫で注意したい内分泌疾患です。どちらもよく食べるのに痩せる、水をよく飲む、尿量が増えるという似た変化を示すことがあります。
Merck Veterinary Manualの猫の甲状腺疾患解説では、甲状腺機能亢進症の主な変化として、体重減少、食欲増加、落ち着きのなさ、多飲多尿、嘔吐・下痢などを挙げています。活動的になったように見える場合でも、夜鳴きが増える、休めない、毛並みが乱れる、心拍が速いなどが加わるときは相談が必要です。
Merck Veterinary Manualの猫の糖尿病解説では、多飲多尿、食欲増加と体重減少、後ろ足の弱りなどが説明されています。肥満は糖尿病のリスク要因ですが、痩せた猫に糖尿病が起こらないわけではありません。体重を急に落とす食事制限や、検査前の自己判断の絶食は避け、食事量と体重の推移を病院へ伝えます。
腫瘍と関節の病気
腫瘍は一つの病気ではなく、できる部位と細胞の種類によって症状、治療、見通しが大きく異なります。Merck Veterinary Manualのがんのサインには、しこり、治りにくい傷、原因不明の出血、体重減少、食欲低下などが挙げられています。ただし、これらがあるから腫瘍とは限りません。しこりの見た目や硬さだけで良性・悪性を判断せず、気づいた日、大きさの変化、写真を記録します。
Merck Veterinary Manualの猫の関節疾患解説が説明するように、高齢猫では関節の変性や痛みも見逃されがちです。高い場所へ跳ばなくなった、階段を避ける、寝ている時間が増えた、毛づくろいしにくい場所がある、爪が伸びやすい、トイレの縁をまたぎにくいといった行動の変化として現れます。「老化だから仕方ない」とせず、生活環境の調整と痛みの評価を相談してください。鎮痛薬は自己判断で与えません。

猫の病気に早く気づくために毎日見る5項目
猫は「具合が悪い」と言葉で伝えられません。病名を当てる観察ではなく、普段との差を拾い、診察に役立つ情報を残す観察を続けます。

1. 食事
食べた量だけでなく、食器へ行くか、においは嗅ぐか、口から落とすか、片側で噛むか、食後に吐くかを見ます。多頭飼育では誰がどれだけ食べたか分かるよう、必要に応じて食事場所や時間を分けます。急な食欲増加も、甲状腺機能亢進症や糖尿病などの手掛かりになることがあります。
2. 水と尿
水皿の減り方、給水器の使用、トイレの回数、尿塊のおおよその大きさを普段と比べます。砂を替えた、トイレを増やした、気温が変わったなど、量に影響しそうな出来事も記録します。尿量を家庭で正確に測れなくても、「以前より明らかに大きい・小さい」「何度も行くのに出ない」は重要な情報です。
3. 便と嘔吐
回数、量、色、硬さ、血・粘液・異物の有無、始まった日を残します。吐いた物を素手で詳しく分解する必要はありません。安全な範囲で写真を撮り、ひもや異物が口や肛門から見えても引っ張らず病院へ相談します。
4. 呼吸と行動
寝ているときの胸の動き、息苦しそうな姿勢、遊び方、隠れる時間、鳴き方、睡眠、跳ぶ高さを見ます。呼吸数を記録するよう主治医から指示されている猫は、その方法と基準を優先します。口を開けた呼吸や明らかな呼吸努力は、計測せずすぐ連絡します。
5. 口・被毛・体重・しこり
口臭、よだれ、歯ぐきの見える範囲、毛づや、毛づくろい、体形、触れたときの反応を確認します。体重は同じ体重計・近い時間帯で測ると変化を追いやすくなりますが、嫌がる猫を不安定な台へ無理に乗せないでください。しこりは強く揉まず、位置と大きさを写真やメモで残します。
病院へは、①始まった日時、②回数と変化、③食事・飲水・排尿・排便、④元気と呼吸、⑤体重、⑥新しいフード・薬・サプリ、⑦誤食や外出の可能性、⑧持病と現在の薬を伝えます。動画や写真は診察の補助になりますが、画像だけで診断できるとは限りません。
猫の病気を防ぐ・早く見つけるためにできること
予防だけでは避けられない病気もあります。感染症の一部はワクチンや寄生虫対策でリスクを下げられますが、慢性腎臓病や心筋症のように、症状が出る前の健診や早期管理が中心になる病気もあります。
定期健診を年齢と持病に合わせる
AAHA/AAFPの猫ライフステージ資料は、健康な成猫でも少なくとも年1回、シニア猫では少なくとも6か月ごとの健診を案内しています。2021年AAFPシニアケアガイドラインの発表資料では、10〜15歳は最低6か月ごと、15歳を超える健康な猫は4か月ごとの診察を提案しています。
これは一律の義務ではなく、持病、検査結果、服薬、受診ストレス、家庭での観察に応じて調整する一般的な目安です。健診では診察に加え、年齢とリスクに応じて体重・筋肉量、口腔、血圧、血液、尿、便、画像検査などを相談します。「全部の検査を毎回行う」のではなく、何を見つけるための検査か、結果で次の対応がどう変わるかを確認しましょう。
ワクチンと寄生虫対策を生活環境に合わせる
2020 AAHA/AAFP猫ワクチンガイドラインは、年齢、環境、生活様式などの個別リスクを把握して予防計画を立てることを重視しています。完全室内飼いでも、脱走、同居猫の追加、ホテル利用、災害避難、飼い主の衣類や物品を介した持ち込みなど、曝露の機会はゼロではありません。
一方、必要なワクチンの種類や接種間隔は、年齢、過去の接種歴、健康状態、地域、外出・多頭飼育の有無で変わります。ノミ、マダニ、消化管寄生虫、フィラリアなどの対策も同様です。市販品を重ねて使わず、猫に使える製品か、体重や持病に合うかを動物病院で確認します。
体重・食事・水・トイレ環境を整える
急な体重増加も減少も、病気のリスクや兆候になり得ます。主食は猫の年齢と健康状態に合う総合栄養食を基本とし、おやつや人の食べ物が主食を置き換えないようにします。療法食は特定の病気を診断された猫のために栄養設計されているため、ほかの猫へ自己判断で長期間与えたり、一般食と同じ感覚で選んだりしません。
水は新鮮なものを複数の落ち着ける場所に置き、食器の素材や形、静かな位置を猫の好みに合わせます。飲水量を増やす方法は、尿路・腎臓・心臓などの状態で個別に考える必要があります。無理に口へ流し込むのではなく、持病がある猫は主治医の指示に従ってください。
トイレは清潔で安全な場所に置き、猫が出入りしやすい大きさと高さを選びます。多頭飼育では猫同士が資源を奪い合わずに済む数と配置を考えます。排尿・排便の失敗を叱ると、痛みや病気のサインを見えにくくするおそれがあります。まず身体の問題を確認し、その後に環境や行動面を見直します。
通院の負担を日頃から減らす
キャリーを受診日だけ出すと、猫が警戒しやすくなります。普段から扉を開けた安全な休憩場所として置き、猫が自分で入ったら静かに好ましい経験につなげます。嫌がる猫を追い詰めたり、無理に押し込んだりせず、病院へ事前に移動方法を相談してください。
かかりつけの診療時間、夜間救急の連絡先、移動手段、現在の薬、ワクチン歴、検査結果を一か所にまとめておくと、急な受診時に役立ちます。緊急時は記録を完璧にそろえるより、先に電話することを優先します。
よくある質問
完全室内飼いの猫でも病気になりますか?
はい。慢性腎臓病、心筋症、糖尿病、甲状腺機能亢進症、歯科疾患、腫瘍、関節の病気などは、外へ出なくても起こります。感染症や寄生虫のリスクは生活環境によって下がりますが、ゼロとは限りません。年齢、同居動物、脱走・預かり・災害避難の可能性を含め、健診と予防計画を相談してください。
猫はよく吐くので、元気なら様子見でよいですか?
「猫は吐く動物」と決めつけないでください。1回だけで、その後の食欲、飲水、排尿、元気が普段どおりなら短時間観察できる場合がありますが、繰り返す、毎週のように続く、血が混じる、水も吐く、食べない、体重が減る、元気がない場合は早めに相談します。子猫、高齢猫、持病がある猫はより慎重に判断します。
トイレでいきんでいます。便秘か尿の病気か分かりません
家庭では見分けにくいため、尿が出ているかを確認し、分からなければすぐ動物病院へ電話してください。何度もトイレへ行くのに尿が出ない、数滴しか出ない、痛がって鳴く、嘔吐や元気消失がある場合は尿道閉塞の可能性があり、救急です。便が出ていないように見えても、排尿不能を除外するまで待たないでください。
高齢猫はどのくらいの頻度で健康診断を受けますか?
AAFPの資料では10歳以上をシニアとし、10〜15歳は少なくとも6か月ごと、15歳超の健康猫は4か月ごとの診察を提案しています。ただし、持病、治療中の病気、受診ストレス、直近の検査結果で適切な間隔は変わります。若い猫も年1回を基本目安に、個別の予防計画を相談しましょう。
症状がなければ血液検査だけで病気を見つけられますか?
血液検査は重要ですが、すべての病気を一つの検査で見つけることはできません。体重・筋肉量、口腔、心音、血圧、尿、便、画像検査などが必要になる場合があります。腎臓病も血液検査と尿検査などを組み合わせて評価します。年齢と生活環境に対して、どの検査が何を調べるのかを獣医師へ確認してください。
猫に多い病気を予防できるフードはありますか?
一つのフードですべての病気を防ぐことはできません。健康な猫では年齢に合う総合栄養食を適量与え、体重と食事量を記録することが基本です。尿路、腎臓、糖尿病などでは、診断と検査結果に応じた療法食が提案されることがありますが、病気ごとに設計が異なります。自己判断で切り替えず、現在の食事とおやつを動物病院へ伝えて相談してください。
まとめ|病名の暗記より「普段との差」と受診の優先順位を知ろう
猫に多い病気は年齢や生活環境で変わります。若い猫を含め、嘔吐・下痢などの消化器症状、結膜炎・上部気道感染、膀胱炎・尿石症などの下部尿路疾患が受診理由になりやすく、中高齢になると歯科疾患、慢性腎臓病、心筋症、甲状腺機能亢進症、糖尿病、腫瘍、関節の病気にも注意が広がります。
口を開けた呼吸、尿が出ない、倒れる・けいれん、意識や反応の低下、中毒・誤食、大きな外傷、急速な悪化は、病名を検索し続けず直ちに動物病院へ連絡してください。軽い変化でも、続く、繰り返す、食欲・体重・飲水・尿量・行動が普段と違う場合は早めに相談します。
家庭では、食事、水と尿、便と嘔吐、呼吸と行動、口・被毛・体重を同じ基準で見て、始まった日、回数、写真・動画を残します。定期健診、個別化したワクチン・寄生虫対策、口腔ケア、適正体重、飲みやすい水と使いやすいトイレ環境を整え、「元気そうだから大丈夫」「高齢だから仕方ない」という思い込みを減らすことが、早い相談につながります。
